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Fiskars, Finland - AIR 2019

'Forget in the Spring' 2019
Installation

 

 

A world map still hangs outside this gallery it was once a classroom.

And aged world map in this school reveals borders, which differ from the present moment. Therefore, I became curious how the world separates and reforms itself.

 

At the end of this video, the various fruits were shared by people from many cultures and countries while they are around a ‘round table.’ The fruits were cut, and new borders were formed. However, these fruits were all eaten together in a shared, unbroken experience for everyone

 

 

春にして君を忘れ

 

2019.2.10-2019.2.28の2週間。私たち6名のアーティストはフィンランド フィスカルスにて滞在制作をおこなった。
かつてハサミの一大産地として名を馳せた小さな村には、6名のアーティストを受け入れる滞在施設はなく。1名は地元のキュレータ宅へ、2名はフィスカルスが持っているレジデンス施設へ、私たち3名は地元のパフォーミングアーティストが他国で仕事があるという彼女宅で、腎臓病の猫を世話するという任務付きで滞在制作を行うことになった。
'キンク'というフィンランド語で'ねこ'という名前の猫との生活は、かつて私が子供の頃、'ねこさん'という名前をつけ、不注意で死なせてしまった猫を思いかえさせた。その当時の後悔もあいまって、猫中心に始まった私の滞在制作は(他2名は関与せず)7:50時に起床、8:00猫に薬半分を砕いたウエットフードをあげた後、一日分のカリカリと水を補給し、植物に水をやり、自身の朝食、作業、リサーチなどを行う。夕方、近所の小さな商店にて、その日の食材とビールを買い、レジデンス施設に滞在するアーティストらや、キュレーター宅に滞在するアーティストと合流し6名で夕飯をかねたミーティング後、20:00頃には帰宅。
私の帰りをまって、外に出たいというキンクの要望に「早く帰ってくるんだよ。」と日本語で言い聞かせ、うむ、言葉はわからんが要は了解。とばかりに出かける猫を見送り、10時、11時に玄関ドアを開け「キンク〜!」と呼ぶ。大抵はそれで、雪景色の向こうから雪をかき分け走って帰ってくるが、それで帰ってこない時もある。一旦就寝後、12時か1時、2時、3時、4時…と、1時間毎にどこかで行き倒れてはいないかと玄関を開け確認する日々。
茶色のふわふわの猫を中心に、AIRに参加するような非日常ではない、日常を生きた私には、刻々と変化する極寒の季節から春へと向かう季節の中で、私の行動を変化させる気候や、気候による行動の変化について目を向かさせ、靴の雪を拭う器具、雪の結晶、そこに何がいる(ある)のかについてを提示した。今、私たちの国日本(もはや世界中で)では、空から降り注ぐもののほとんどが環境、健康に疑わしい成分を含んでいる。
彼の地を離れた私は、キンクのことを今も思っている。

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